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企画展

第14回現代の書 新春展―今いきづく墨の華―

 東京・銀座の正月を墨で彩る「第14回現代の書 新春展-今いきづく墨の華-」が1月5日から11日まで和光ホールとセントラルミュージアム銀座の2つの会場で開かれた。書の今日性と芸術性を重視、「現代の書」が躍動する世界を展覧することを目標に掲げており、新たな年を迎えるに相応しい力作が会場を飾った。和光会場での開会式には、出品者、来賓関係者らが出席、まず、朝比奈豊・毎日書道会理事長(毎日新聞社社長)が、「楽しみにしておりました今年の和光さんのショーウィンドーで、先生方の様々なひつじに出会いました。未の年に新たな書の未来を切り開くことができるよう祈っております」とユーモアを交えて挨拶、次いで会場を提供する和光の安達辰彦社長が祝辞を述べた。
 和光会場の出品者の毎日書道会最高・常任顧問、顧問、理事、監事、第66回毎日書道展文部科学大臣賞受賞者合わせて29人、一人ひとりが紹介された。
 また、新春展実行委員長の船本芳雲さんの第56回毎日芸術賞受賞が報じられた直後とあって会場に集まった関係者から大きな拍手が送られた。引き続き65歳以下の毎日展審査会員100人の作品が展示されたセントラル会場で祝賀会が行われた。
 はじめに実行委員長の船本さんが、「書道文化を取り巻く環境は厳しい状況にあります。この新春展を企画した金子卓義さんは、14年前に銀座に書の風を吹き込もう、と宣言した。今、この街にはみごとに爽やかや風が吹いています。この風を全身に感じ、楽しみながらたくさんの人たちに足を運んでいただき、書のすばらしさを味わってほしい」と強調した。この後、第67回展の実行委員長を務める辻元大雲さんの発声で乾杯、新春展が開幕した。

 和光会場には、稲村雲洞さん「朴直」、恩地春洋さん「壷」、中野北溟さん「流氷の詩」、小山やす子さん「山家集」、石飛博光さん「夢一場」、「桜貝」、關正人さん「主一」や船本さん「ふるさとこいしや」、辻元さん「万歳の袖をひらけば…」など重厚な作品が並び、出品者2人で行う対談形式のギャラリートークが人気を呼んだ。
 セントラル会場には、鈴木不倒さん「夢十夜」、千葉蒼玄さん「天気輪の柱」、西墨濤さん「新春 眞山民詩集」、西方純晴さん「開也」、日守菜穂子さん「浄土往生」、丸尾鎌使さん「feeling―心の感情」、宮本博志さん「錆びた扉」、山中翠谷さん「融」、渡部會山さん「復奚疑」、加藤煌雪さん「Message」、加藤有鄰さん「吉祥」、金子大蔵さん「馴鹿」、鈴木響泉さん「雲遊」など力のある書家の多彩な作品が注目された。出品者による席上揮毫や作品解説には多くの人たちが駆け付け大にぎわいだった。

書の未来を切り開く年に、とあいさつする朝比奈社長
新鮮味あふれる作品が目立ったセントラル会場
船本さん(右)と鬼頭墨峻さんの対談形式のギャラリートーク。
大勢の書ファンが駆け付けた