2016年
申年干支切手揮毫作家展
今年の干支「申・猿・さる」記念切手の文字を揮毫した書家10人の作品を展示した「申年干支切手揮毫作家展」が、1月13日から22日まで東京・竹橋の毎日新聞社1階の「アートサロン毎日」で開かれた。切手に採用された作品とともに同時に揮毫した作品も展示された。「干支文字切手」は、今回で12年目、十二支が出そろい、記念切手の発行は終了した。
会場には、12種類の「干支文字」の記念切手シート、特集紙面など拡大コピーし展示、干支文字切手12年の歩みを分かりやすく紹介、話題となった。訪れた都内の会社員は、「12年分、まとめて購入したいと思ってきました。3年分がそろっていません。もう終了と聞きました。楽しみにしていたのですが残念です」と話していた。
最後となった「サル」の記念切手揮毫10人の書家は、次の通り。(敬称略、順不同)
▽石飛博光 ▽堀吉光 ▽仲川恭司 ▽關正人 ▽辻元大雲
▽吉澤秀香 ▽佐川雲窓 ▽山崎暁子 ▽鈴木響泉 ▽渡部會山
第15回現代の書 新春展-今いきづく墨の華-
東京・銀座の正月を彩る「第15回現代の書 新春展-今いきづく墨の華-」が1月5日から11日まで和光ホールとセントラルミュージアム銀座の2つの会場で開かれた。
「現代の書」の多彩で個性的な書展と高い評価を受けた新春に相応しい力作が今年も会場を飾った。毎日書道会最高顧問、理事ら28人の新作が輝いた和光会場での開会式には、出品者、来賓関係者らが出席、まず、朝比奈豊・毎日書道会理事長(毎日新聞社社長)が、「日本人の美意識、感性を集約したのが書だと思う。書の芸術性がパリ展など海外でも大評判で心強く思っています。楽しみにしている1階のショーウィンドウに飾られた先生方の表情豊かなサルを拝見しました。サルの年に書の世界がさらに充実、発展していくことを祈っております」と挨拶、次いで会場を提供する和光の安達辰彦社長が「サルの高揚した顔をイメージしポスター、ウィンドウなどにピンク色を使用した。いいものができたと自負しています。世界、日本の各地からおいでいただく大勢の方々に書展をやっていることを分かっていただけると思う」と祝辞を述べた。
続いて和光会場の出品者の毎日書道会最高・常任顧問、顧問、理事、監事、第67回毎日展文部科学大臣賞受賞者が紹介され、華やかに開幕した。
この後、65歳以上の毎日展名誉・参与・審査会員100人の作品が展示されたセントラル会場で祝賀会が行われた。
毎日書道会理事で同展実行委員長の辻元大雲さんが、「今年も新春を飾るいい作品が陳列された。書芸術のすばらしさを多くの人たちに味わってほしい」と強調。次いで来賓を代表してステージに立った五島美術館副館長、名児耶明さんが会場を埋めた出品者に対し「最近、街を歩き看板やタイトルなどを見るたびに惨めに思うことが多い。書を学ぶ人が参加していないような気がする。和食が世界文化遺産に登録されたのに俗化していくのに耐えられない」と訴え、さらに「みなさんの力でいい方向に変えてほしい。芸術的な作品が溢れることで書をやってみよう、という人が増え、書の底辺拡大にもつながると思う。ぜひ、お願いしたい」と話し話題となった。この後、第68回毎日展の実行委員長を務める仲川恭司さんの発声で乾杯、新春展が開幕した。
和光会場には、稲村雲洞さん「目聴」、中野北溟さん「勧酒」、大井錦亭さん「金子兜太句」、小山やす子さん「古今和歌集」、石飛博光さん「翰虚不動」、「冬桜」、關正人さん「展驥」や関口春芳さん「玲瓏」、辻元さん「大久保白村の句」、仲川さん「風」、船本芳雲さん「秋扇」、室井玄聳さん「忘言之門」など心打つ作品が並び、出品者2人で行う対談形式のギャラリートークが人気を呼んだ。
セントラル会場には、赤平泰処さん「吹塵之夢」、荒金大琳さん「羅針盤」、石原太流さん「継武」、大平匡昭さん「春のふるさと」、貝原司研さん「有恒心」、慶徳紀子さん「明けの春」、小竹石雲さん「瑞雲」、小原道城さん「祈」、齊藤瑞仙さん「牛飲水成乳」、鈴木まつ子さん「佇立」、外林道子さん「古代文字へのロマン」、高野早苗さん「古詩十九首十」、高橋静豪さん「秋懐」、増子哲舟さん「聖泉宴」、三宅相舟さん「山家集」、宮本博志さん「大沼遊魚句」、森本龍石さん「人生楽事」、柳澤朱篁さん「古語」、山中翠谷さん「現」など実力派書家の多彩な作品が並び、注目された。出品者による席上揮毫や作品解説には多くの人たちが駆け付け大賑わいだった。
毎日チャリティー書展
毎日書道展の代表書家の作品を販売する「毎日チャリティー書展」が1月5日から11日まで、東京・銀座2丁目の銀座貿易ビル8階の東京銀座画廊美術館で開かれた。毎日書道会最高顧問の稲村雲洞、恩地春洋、中野北溟の各氏はじめ常任顧問の小山やす子、關正人、関口春芳、田村空谷、林竹聲の各氏などや理事の石飛博光、遠藤彊、片岡重和、鬼頭墨峻、辻元大雲、仲川恭司、永守蒼穹、松井玉箏の各氏ら274人の作品が格安で購入できるとあって早朝から書道ファンの行列ができるほどだった。日本を代表する書家の珍しい小品の作品が展示され鑑賞もできるとあって連日、多くの人たちが訪れ、入場者は昨年を上回る3730人に達した。作品の販売価格は最高75600円から32400円までで経費を除いた売上金は、毎日新聞東京社会事業団に寄託。今年で30回を迎えることになり、これまで総額5500万円が社会福祉に役立てられている。
新会員作家展
4月から毎日展会員に昇格する新進気鋭の書家の記念展「毎日書道展新会員作家展」が3月7日から4月2日まで4期に分けて東京・竹橋のアートサロン毎日で開催。この作家展は、1994年に第1回展スタートさせ、今年で23回目となった。今回は176人が会員昇格の資格を取得、うち152人によって作家展が催されることになった。強い意気込みが感じられる作品がそろい7日から12日までの第1期に展示された書家は、漢字、かな、近代詩文書、大字書、篆刻、刻字、前衛書の7部門、38人。2期(14日から19日)、3期(21日から26日)、4期(28日から4月2日)とそれぞれ38人の作品が陳列。会期中の11日には、出品者はじめ書道会理事など関係者が集い新会員証の授与式など祝賀会がにぎやかに催された。